高利貸しに手を出さないこと
会社がどの程度の状態に陥っているのか、診断する必要があります。
経営が思わしくないと思った時、まずその会社を経営している人は、会社を経て直したいと思います。
できると思い、ギリギリまで粘ります。
もう手術もできないほど病巣が広がっても、金策に走ります。
「何とかなる、何とかしなくては」と思い、ついには街金にまで手を出してうのです。
街金融に手を出すと、今度は街金の利息の返済に追われるようになります。病気で痛みを取り除くために麻薬を使用し、回を重ねるごとに効かなくなり、無制限に量を増していくのに似ています。
ある街金の業者は「金利や返済方法を相談していると、ためらう中小企業の社長がいる。そんな時、ドーンと目の前に100万円、200万円と現金を積んじゃう。すると目つきが変わって、必ず持って行くね。これがあったら会社は助かると思うんだね。」
業界用語ではこれを「回し」といいますが、街金の金利は非常に高いため、その金利を払うのにまた別の街金に走ってお金を借りることになります。別なところといってもそう簡単には貸してくれません。そこで「絶対に貸してくれる」という街金を紹介してくれるわけです。
街金はピラミッド方式になっていて、上部の大きな所は比較的金利が安く、下にいくほど金利が高くなります。上部で借りたお金の返済が滞ると下部の業者を紹介し、そこの金利が滞るとさらに下部へ回されます。そして、下部に行くほどだんだん金利が高くなり、気がつくと元金より多くの利息を支払っています。
利用し尽くされた後は、他の金融機関か街金に連れていって借金をさせます。それをさらに回収するわけです。
スムーズな倒産のためには、絶対に”街金”に手を出さないことです。
どうしても倒産が避けられない時があります。
もちろん倒産あるいは破産は歓迎すべきことではありませんが、倒産を決意するときにはタイミングと方法が肝心です。
タイミングも方法も誤ってもいけません。
どの時点で倒産を選択するかは難しい判断を要求されますが、時期を誤らなければ立派な選択となります。
見込みのないのに無理な金策は、傷口を広げるだけということも多い。
上手な倒産は、以下の条件を満たすことと考えます。
①倒産しても個人財産を確保できる
②倒産しても、債権者になるべく累を及ぼさない
③倒産後、新しい生活を順調に始めることができる
タイミングと方法さえ間違えなければ、債権者から追われない生活で、個人の財産も何とか確保して生きることも可能です。
倒産を決意する時期を逸してしまうことで、債権者から逃げ回るような悲惨な状況に陥る「ダメな倒産」なってしまいます。
残念なことに、原因の一番大きなポイントは、多くの倒産は頼りになる相談相手を持っていない、ということ、これにより「ダメな倒産」に追いこまれているのです。
人間としての器の問題でもありますが、よく闘って倒産に至るか、責任と決断力を放棄して倒産に至るかは、天と地ほどの差があります。
またその後企業人として再起できるかどうかの分かれ目でもあるのです。
倒産する必要のない会社が倒産するというのはバカげたことで、なんとか再建に努力しなければなりません。
その努力の最大の眼目は金融機関対策です。
しかし倒産しかないと判断される時はためらわず、すばやく倒産の対策を取るべきです。
その場合、まず、返済すべき借金を整理してよく眺めて、どこからいくら借りているか、誰からどれだけ借りているか、返済期限はいつかをみます。
こうしたリストを作成して、重要度や返済すべき対象を絞り込み同じ立場にある弱い債権者にはなるべく支払ってあげるようにして、金融機関の人には申し訳ないのですが、大手の金融機関や大口の手形を一旦支払い対象から外す。
判断の分かれ目となるのは、例えば1800万円の手形の決済を明後日までにしなければならないとして、現在1200万円しか用意できていないとします、大抵の方はあと600万円を血眼になって調達しようとするのです。
しかしこのような事が今後も幾度となく押し寄せることが分かっている時で、その状態が1年や2年では改善できないと判断でき、さらに銀行に緊急融資を願い出ても認めてくれない時こそが分かれ目となります。
金融機関と真剣に相談してみて不調なら、ここが決断のしどころとなります。
間違っても高利貸しに走らないことが「賢い倒産」のコツです。
そして支払うべき1200万円は倒産のための実費として手元に置いておくのです。
要するに、借金の返済を中止して、現金をいかに確保するかということです。
倒産するにしても法的清算を選ぶ場合は、負債額に応じて裁判所に予納金を納めなくてはなりません。
また弁護士の費用も必要です。もちろん家族の生活費も必要なのです。
倒産するための資金として、どうしてもある程度の現金が必要だということを理解してください。これから倒産をするという人に、誰もお金を貸してはくれません。
そのためには、金融機関の人には申し訳ないのですが、弱者である債権者には累を及ぼさないようにして、借金は大手の金融機関にまとめると言うのでいたしかたないでしょう。
ともかく中小企業は資本力もなく、大企業に比べて何かにつけて不利な立場にいます。
しかも、一般に金融機関は大手に厚く、中小企業には酷薄です。無理な条件での下請け仕事を押しつけられ、また隙間産業的な部分で成功を収めると今度は大手が参入してまた片隅に追いやられます。
せめて倒産するならば、「賢い倒産」を勝ち取ることをすすめたいのです。
個人の資産と会社の資産とを峻別し、会社の倒産を個人にまでなるべく持ちこまないようにし、しかも従業員を守り上手に倒産することで明日が開けるのです。
そのためですから、倒産をいちいち人生の悲劇だと考えていては、いくら命があっても足りないでしょう。
中小企業が倒れて銀行員が責任を感じて自殺したという話はあまり聞いたことがありません。
金融機関はある程度の損金は折込み済みですから、あなたの会社の不良債権は税金面で損金対象として処理するでしょう。
この場に及んで高利貸しに走るのは愚の骨頂です。
「倒産」という言葉は、厳密に概念規定された法律的用語ではないそうですが、では倒産するというのは、一体どういう事を意味しているのでしょうか。
「倒産」という言葉は通俗的用語としての色彩が強いが、常識的には債務者の決定的な経済的破綻を倒産という。
すなわち、債務者の振り出した約束手形(小切手)が不渡りになり銀行取引停止処分になるというのがその典型ですが、弁済期にある債務を一般的に(特定の債務ではなく、どれもこれも)弁済することができなくなり、ひいて経済活動をそのまま続行することが不可能となった事態である。
それ以外でも自ら裁判所に対して破産手続きや会社更生手続などの申し立てをしたり、債権者に財産状態の悪化を告げて全面的にその処置を委ねるのも、倒産といってもよいでしょう。